制約から生まれるもの

昨夜は、長女が通う高校の保護者会に参加。

保護者会と言っても、日本の保護者会とは、大分イメージが異なる。まず、最初に、大きな講堂で、校長先生の挨拶があった後、生徒による寸劇の学校紹介があった。演劇を担当している先生がプロデュースしたようで、かなりレベルが高く、保護者の笑いを誘っていた。

その次は、PTO(Parents & Teachers Organization)の会長が登場し、寄付の話。アメリカの公立高校は、無料だが、日本の公立高校に比べ、設備や活動がかなり充実している。寄付が果たす役割は、かなり大きそうだ。寄付の話なので、堅い話かと思いきや、「私は、寄付を集めるプロです」という自己紹介ビデオから始まり、パロディが入った内容で会場は、大爆笑。退屈しなさそうな保護者会が始まった。

本題は、娘が選択している授業の説明。7科目×15分のセッションが組まれており、セッション毎に各授業の説明が行われている教室へと向かう。

各教室では、先生が、プレゼンの資料を準備しており、

「あなたたちの子供たちをシェアしてくれて、とても幸せである」とか、

「授業はとてもエキサイティングだ」とか、

「授業の目的はこうで、評価は、こういう配分で、決まる」とか、

「こういうところを気をつけないと、あとで痛い目にあう」とか、

短時間にプレゼンをしていく。15分なので、飽きる暇もなく、だだっ広い校舎の中をどんどん移動し、テンポよく進んでいく。

その中で、一番印象に残ったのが、Drawingのクラスだ。先生は、パワポを見せながら、これまでの5週間で何をやったのかを振り返ってくれた。まず、最初に、絵を描く恐怖心をなくすため、絵は、5つの基本形で全てかけるというところから、講義が始まる。その後、5つの形を使った模写があり、その後、カンディンスキーやピカソの絵画を鑑賞したりする。

巨匠の絵も、5つの形で描けるんだと思うと、妙に身近に感じる。その後、いろいろなテーマ・やり方で、絵を描いていったようだ。娘の絵も飾ってあったので、見てみたら、普段では描かないような、いつもと違う”味のある”仕上がりになっていた。

「あれっ?どうやって描いたのかな?」と思っていたら、先生が、「これは一筆書き(Continuous drawing)なんですよ」と説明してくれた。

一筆書きは、当たり前だが、”ペンを紙から離さずに書き続ける”ことがお約束。子供たちは、自分の靴を題材に3足、なるべく、重ねて描くようにという指示で、描いたそうだ。一筆書きというやり方をとったこと、かえって、皆、どこかしら、自由な感じの個性的な絵になっていた。

先生曰く、

「テーマだけ与えると、最初は、みんな上手に描こうと思うんですよ。でも上手に描こうとする気持ちが、邪魔をしてしまう。制約があることで、上手に描こうとする気持ちがなくなって、却って、自由に描けるんですよ。」

確かに、5週間前に比べると、子供たちの絵は、見違えるように活き活きとしていた。

自分たちの生活の中でも、テーマを決めて、あえて極端な制約をかけてみると、普段の生活では、見えなかった何か面白い発見があるかもしれない。。。保護者会で、そんなことを考えていた。

JinK.

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