2. チャンク:意味の塊に分けて、塊ごとに相手に渡していく
次に大切なのが、息継ぎ、あるいは、間の取り方だ。文章を意味の
ある塊に分け、分けた塊を一つ一つ区切りながら、相手に渡していく
感覚だ。この塊は、一般的にチャンクと呼ばれる。
表現は異なるが、これは、ウィリアム・ヴァンスさんの英語で考える
スピーキングで紹介されているアプローチの一つ(英語の情報パッケージ
で伝える)である。
例えば、I found a problem/ that we need to discuss/ as soon as possible.
という具合だ。スラッシュとスラッシュの間がチャンク、スラッシュの
ところで間を取る。最初は、文中は、1秒弱、文末は2秒弱という感覚。
人によって、間が短くったり、間がないマシンガントークのような
人もたまにはいるが、僕の場合は、間をとったほうが、伝わるように
感じる。間の取り方は、特にスピーチで顕著に現れる。
(時間のある方は、間の取り方を意識して、TED Talk やスピーチを、
途中だけでもいいので聞いてみてほしい。例えばケネディの就任演説。)
この意味の塊で分ける、間を取る、一つ一つ渡していくというやり方は、
極めて大切だ。これを意識し、実行できれば、格段に英語が通じるよう
になる。文章を丸ごと暗記し、英語っぽく、ダダダと話すのでは通じない。
意味の塊毎に、一つ一つ渡していく。そういう感覚が大事だ。一つの塊は、
そんなに長くないので、覚えやすくもある。この手法のいいところは、
意味の塊、チャンクが入れ替え可能なことである。つまり、表現の応用
可能性や拡張性が高いということだ。例えば、先の例文で言えば、
We’ve found a problem/ that we need to solve/ by the end of this week.
と入れ替えてもいい。自分の中にこのチャンクを貯めていく。そうすれば、
話すということはあとはチャンクの組み合わせの問題になるだけであり、
英語を話す時に脳にかかる負荷も軽い。
注意したほうがいいのは、チャンクの中の単語は、単語間で途切れず、
すべてつながり、連続的な音として話す必要があるということ、
チャンク内には、一つストレスワードがあるということ、この2つだ。
単語のつながり、いわゆるリンキングやリエゾンについては、
また別に書いてみたいと思う。
チャンクの訓練で最も有効な手段は、TED Talkを活用することだと思う。
なんでもいいので、自分が興味がある分野で真似してみたいTED Talkを選ぶ。
単純ではあるが、
- チャンク分けし、ストレスワードを特定する
- 耳で聞いて、チャンクと間を意識しながら、ちゃんと
言えるまで繰り返す
スクリプトは、TEDのサイトから、入手する。例えば、Barry Shwartz
さんの選択のパラドクスをこの方法でやるとすれば、次のような感じだ。
I want to(wanna) start/
with what I call/
the “official dogma.”/
耳で聴いて、話す訓練に最も適しているのは、TEDICTというアプリだ。
このアプリは優れものだ。自分の聞きたいTED Talkを短い単位に
切り分けてくれている。一つの単位に1〜3個のチャンクが入っている。
一つの単位毎、ディクテーションをするようになっているが、
チャンクの練習をするには最適だ。細かく分かれているので、
隙間時間にやるのに向いている。
このチャンクという考え方は、僕にとってはブレークスルーだった。
ビジネス英語については、シーン毎のいろいろな表現集がある。もちろん、
シーン毎の言い回しを覚えることは役立つと思うが、こういう場合はこう
とういう1対1対応で覚えていては切りがない。チャンクは、確実に積み
あがっていく感覚があるし、組み合わせなので、チャンクの数が増えれば
増えるほど加速度的に応用可能性が広がるというメリットがある。
加えて、このやり方をとるようになってから、格段に相手に通じるように
なったように思う。日常会話だけでなく、特に、英語でスピーチをする必要
がある人にお勧めである。
JinK.