グローバルで渡り合う英語の磨き方(3)

3. アクセントのいろは:
アクセントの基本を理解することで、聴き取り力を上げる

海外で働き始めて、最も衝撃的だったのは、”生で遠慮なく話される
仕事上の英語は、ほとんど聴き取れない”ということである。多分、
渡米当初は、2〜3割理解できる程度だ。仕事上の英語といっても、
1対1の会話はさほど問題ではない。問題となるのは、いろいろな
国籍の人が複数人参加する電話会議で、喧々諤々議論がやりとり
される場合だ。これは、ある程度英語で意思疎通ができ、多少
英語に自信がある人でもハードルが高いと思う。

理由はいろいろ考えられる。まず、電話回線の音質が悪くて音が
こもる。特にスマートフォンから会議に参加する人は、回線が不安定
なことが多い。次に、いろいろなタイプのなまりが聴き取れない。
特にアメリカ南部なまり、インドなまり、フランスなまり、
ニュージーランドなまり、イギリス英語の強いなまりなど、厄介だ。
ちなみに、ドイツ人の英語は比較的わかりやすいと思う。さらに、
単語など部分部分を聞き取れたとしても、そもそも、なぜ、そのことを
議論しているのかという背景や中身をよく理解していないと
いうこともある。

理由は、どうあれ、話されていることが理解できなければ、まったく
仕事にならない。話の機微を理解し、きめ細かい対応をする日本人と
しての強みは、まったく活かされない。これは、グローバルで生き残る
上で、死活問題である。

対策として、まずは、すべての会話を録音し、聴きなおす、わからない
ところは、恥を忍んで部下に聞く、海外ドラマ等いろいろなタイプの
英語を聴きまくるなどの対応をしてみたが、時間はかかるし、聴き取り
能力が短期間で格段に向上するわけもない。渡米当初は、途方にくれて
いた、まさにお手上げ状態である。

そこで、ネイティブ並みに英語を話せるアルゼンチン人の上司に相談
してみることにした。すると、彼女のアドバイスは、発音・アクセント
のトレーニングを受けた方がいいというものだった。これは意外だった。
というのも、そのときの自分の発音で、アクセントを間違えなければ、
十分に通じていたし、今更、ネイティブのようになれるわけもない。
発音はこんなもんだろう、多少、日本人発音でも通じればいいじゃないか、
そう思っていた。しかも聴き取り能力を上げるために発音・アクセント
を学ぶという発想が新鮮だった。他に効果的な対策があるわけでもなく、
今更の感はあるが、騙されたと思って、発音・アクセントの勉強を
本格的に始めることにした。

すると意外な発見があった。まず、発音記号や単語のつながり(リエゾン)
の一部については知っていたが、発音・アクセントについて、体系だてて
理解していないということ、その中で、何が重要なのかを理解して
いなかったということだ。加えて、発音・アクセントを学ぶということは、
正しく発音するため、自分の英語を聴き取りやすくするためと考えていたが、
上司が言う通り、それ以上に相手の言っていることを聴き取るために
極めて大切であるという点だ。

基本的に、人は、予測できるものは、比較的容易に理解することができる。
食事やスーパーでのオーダーや挨拶などの日常会話は定型パターンがあるので、
比較的短期間で理解できるようになる。パターン認識できれば、聴き取り力が
あがる。難しい会話でも同じことが言える。たとえば、英語の初学者で、
初めて、海外のドラマを見たとしよう。聴き取れる部分もあるかもしれないが、
聴き取れない部分が多いだろう。しかし、一度、スクリプトを見て、再度、
同じ箇所を見てみたら、どうだろう。格段に聴き取れる部分が増えるはずだ。
それは、頭に、スクリプトの記憶が残っていて、予測能力が高まっている
からだと思う。それでも、聴き取れない部分が残ると思う。それは、その人の
言語能力が低いからではない。そうではなくて、書かれている文字と話されて
いる音声の間に隔たりがあるからだ。その隔たりを埋めるのが、アクセント
のいろはだ。アクセントとは、声の質、イントネーション、単語のつながり
(リエゾン)、発音の4つからなる。

アクセントのいろはが頭に入っていれば、英語の音に対する備えが頭の中
にできており、予測能力が格段にあがる。英語の議論の展開パターンや
背景の知識があれば、なおさらだ。この点が大切だと思う。最初の半年くらいは、
ほとんど、録音した電話会議を聴き直していたが、半年過ぎくらいから、
徐々に聴き直す割合が下がり、今では、極めて重要な会議で、ニュアンスを
理解する必要があるもの、音質が極端に悪いもの、なまりが強いものを除いては、
ほとんど聴き直す必要がなくなってきた。

もちろん、海外ドラマを浴びるように見れば、聴き取り能力は、多少
上がっていくと思うが、アクセントのいろはを知っていて、頭の中に備え
があり、音を意識し、繰り返し聴くことをすれば、聴き取り力の向上スピード
があがるように思う。もちろん、15歳くらいまでで、英語環境に身をおいて
いれば、そんな必要はないように感じる。日々、英語をインプット、アウト
プットする環境にいれば、ある程度は自然に英語が身につく。しかしながら、
ある程度年齢を経てから、語学習得する場合は、最初は意識しながら、できる
ようにする。さらに意識しないでもできるようになる、というステップを
踏まざるを得ない。そのためにも音に対する備えが必要だと思う。

アクセントのいろはを学ぶのに最も役立った本は、American Accent Training
英語舌のつくり方である。英語舌のつくり方は、簡単読めて、基本を再確認に
したり、僕の場合、不明瞭になりがちな子音の重要性について、再認識する
ことができた。American Accent Trainingは、200ページ強のテキスト
であるが、アメリカ英語の特徴に対する説明がわかりやすく、テキスト全部の
内容がナチュラルスピードの英語で録音されているので、聴きながら学べる。
(アマゾンジャパンでは評価がわかれているようですが)
この本は、アクセントに対する備えを頭の中に作るのに役立った。

今回は、長くなってしまったので、この辺で。次回は、アクセントのいろはで
大切だと思うことについて、まとめてみたいと思う。

JinK.

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