ホワイトボードの効用

仕事始め2日目は、仕事の引継だ。
定型のルーチンワークではないし、関係者は多いし、グローバル各国にいる
メンバーと仕事を進めるので、内容も仕事の進め方も極めて複雑で、分かりにくい。

このままでは、気が滅入るし、複雑さの海に溺れそうだし、わかったようなふりで、
流すわけにもいかないので、先手を取ることにした。
これまで、送られてきた資料や、前の日に議論した内容を踏まえて、自分なりの
理解を整理した叩き台を作っておいた。

もちろん、最初に、自分のプロフィール、自分がなぜ米国に来たのか、
何をしたいのかという私のアスピレーションも入れておいた。
やはり、アメリカン・ウェイで、明確にダイレクトに。

するとどうだろう。最初から非常に受けがいいではないか。
「素晴らしい決断だわ。本当に来てくれて嬉しい。」
「これが、JinKのメンタルマップね。資料を準備してくれたから、どこを
議論すればいいか、よくわかる。」
「最初は、いろいろ大変だとは思うけど、私たちができることは何でもする、
決めるのはJinKだから。」
アメリカ人は、ナイスであろうとするから、これは、一部、社交辞令も
あるかもしれないが、手ごたえ感を感じた。

ただ、伝えたいのは、事前の準備ではなく、ホワイトボードの効用である。

職業がら、ホワイトボードは、議論の整理のために、よく使う。
頭の中にあるものをはきだし、整理しながら、違和感があるところを、更に、
整理し、認識を一致させる。
個人的には、概念レベルから、具体的なタスクレベルまで、認識を一致させる
ことができれば、チームとしてのずれが少なくなるし、無駄がなく、極めて効率的に
動くことができると信じている。

以前、海外の人と日本人の混成タスクフォースをマネジした時も、ホワイトボードを
多用した。使う言語は、日本語と中国語。通訳を介しながらのプロジェクトマネジである。
いろいろなニュアンスも含め、通訳を介しながらのコミュニケーションでは、誤解が多く
いろいろなトラブルが、発生してしまう。そこで活用したがホワイトボードだ。
意外なことに、私は全く中国語が分からないのに、日本語を理解しないスタッフと
認識を一致させることができた。ホワイトボードのパワーだ。

その経験があったので、今回も、仕事の引継にホワイトボードを使うことにした。
私が、ホワイトボードのペンを持ち、わからないところは、質問しながら、書いていく。
言われたとおりに書くのではなく、言っていることはこんな感じかなと解釈して、
自分の言葉で書いていく。一言一句のディクテーションに比べると、自分の解釈を
書けばいいだけなので、意外に容易だ。
理解が間違っていれば、指摘されるし、修正すればいいだけだ。

するとどうだろう。悩みが出てくる、出てくる。
結局、朝の10時から、夕方の16時まで、ホワイトボードに、頭の中にあるものを、
はきだしてもらった。「JinK、もうないわ。これで全て。」というところまで。

もちろん、そう簡単に、物事が進むわけではないが、このはきだしのお陰で、
理解が急速に深まった。敵を知り、己を知れば、百戦危うからずだ。
海外で働くというと、どうしても、英語力を考えがちだが、英語が十分でない分、自分が
培ってきた仕事の技術が、助けてくれることを痛感した。

ホワイトボード様様である。

ちなみに、渡米して、我が家で、ベットの次に購入したのが、ホワイトボードである。
壁に張るタイプのもので、3枚組み合わせて、横180cm、たて100cmほどのホワイト
ボードもどきを作った。海外生活ということで、不安はつきものだが、不安をはきだして、
対応がわかると意外に気が楽になるものだ。
大きなホワイトボードは、家庭にもおすすめである。

JinK.

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